どうも!ブログマネタイザーの正宗です。
前回チョロっと話した価値についてなんだけど、この『価値と価格』というテーマについて本気で話そうと思ったら、本が一冊出来上がるくらいややこしい事になるので、ひとまずおさえとかなきゃならないベーシックなところを話しますか。
まずは結論から。
結論:『無料』や『激安』の商品は、与える側も受け取る側も不幸にする場合がある。えっ?与える側はともかく受け取る側も不幸になるの?
さぁ、それは何でなのか、あなたは分かりますか?
今日はその事を説明しましょう。
そんじゃ行きますよー。
目の前に腕時計があります。
それはカシオのデジタル式腕時計です。
値段は1万円。
納得できますね。
さらにもう一つ、目の前に腕時計があります。
それはロレックスの高級機械式腕時計です。
値段は100万円。
これも納得できますよね。
では、ロレックスの腕時計はカシオのデジタル腕時計よりも100倍正確なのでしょうか?時計というのは時間を計る為のものです。
なので、時計の本来の価値は、時間をちゃんと正確に計れるかどうか?というところにあるハズ。
価格と価値が=で結ばれているとするなら、ロレックスの時計はカシオの時計よりも100倍正確じゃなければならないじゃないですか?
でも、そんな事はないですよね。
どっちかって言うと、正確さならカシオのデジタル式腕時計の方が上なんじゃないでしょうか。
ならば、なぜロレックスの時計は100万円という値段が付けられてる事に納得できるのかと言うと、物にはその
本来の価値の他に
知覚価値というものがあるからなんですね。
知覚価値というのは、商品の購入者が『心で感じている総合的な価値』の事です。
やたら美味しいなぁ、と思いながら食べてたお米が、実は一年に5kgしか収穫できない、超特Aランクの新米とれたて厳選魚沼産コシヒカリだった、と聞いた途端に、美味しいだけではなくありがたみまで感じてしまうのは、そのお米の正体を知った瞬間に一気に知覚価値が高まったからです。
いわゆる高級ブランド品というものは、その価格のほとんどが知覚価値によって成り立ってます。
単なるシャツやバッグも高級ブランド品になると価格が跳ね上がるのは、設定されたその価格の大部分が知覚価値によるものだからです。
そんで、ここでちょっと気に留めておいて欲しいのが『高級ブランドだから商品の価格が高くなった』とは必ずしも言い切れない、という事です。どういう事かと言うと
『商品価格を高く設定したから高級ブランドになり得た』という部分が少なからずあるんですよ。
さすがにそれが全てではありませんが、高級ブランドが高級ブランド足り得ているその秘密の一端は価格が担ってる、と言う事はできます。
ちょっと想像してみましょう。
先ほど例に挙げたロレックスですが、あなたが生まれた時から現在に至るまで、その辺の安売り店で『ロレックス激安特価!9,800円!!』などと特売をやってる場面をしょっちゅう見かけていたら、はたしてあなたはロレックスに高級ブランド品としての価値を感じる事ができるでしょうか?
生まれてから今に至るまで、ずっと激安のイメージが付いて回っていたのなら、おそらく高級品としての価値は感じなかったんじゃないでしょうか。
少なくとも、誰も自ら100万円払うような事にはならないでしょう。
お分かりでしょうか?
ありがたみを感じる(=知覚価値が高い)から自然と価格が100万円になったのではなく、100万円という価格が設定されてるからありがたみを感じる(=知覚価値が高い)という部分が、人には少なからずある訳です。
え〜本当に?なんて思ってる?
その疑問を解消する、ちょっと面白い話があるんですよ。
人が感じる価値と価格の関係について、スタンフォード大学の教授ババシヴ氏とカリフォルニア工科大学の研究者が協力して実験を行った事があるんです。
その実験の内容は、被験者にワインを飲ませる時に、そのワインの価格を「5ドル」と言った時と「45ドル」と言った時で、被験者にどのような違いが見られるか?というものでした。
その結果、ワインの価格を45ドルだと言われた時の方が、被験者はそのワインに強い美味しさを感じている事が分かりました。
重要なのは、この実験の結果が被験者の自己申告とかじゃなくて、fMRI(磁気共鳴機能画像法という医療装置を使った撮影技術。レントゲンみたいなもの)により脳の活動をモニタリングした結果、ワインの価格を45ドルと言われた時の方が、被験者の脳が実際により強い美味しさを感じている事が実証された点です。
口からでまかせで『高価なワインだから美味いと言わなければ』とカッコ付けて美味いと言ったのではなく、
脳が実際に美味いと感じているんですね。
この実験から分かる事は『高い価格がその商品の価値を実際に強く引き出している』という事です。逆に言えば
『人は低価格のものや無料のものに、高い価値を感じる事はなかなかできない』という事でもあります。
無理ではありませんが、低価格のものや無料のものに高い価値を感じる事は難しいんです。
あなたにもきっと身に覚えがあるでしょう?
今この文章を読んでるあなたのスマフォやPCの中にも、無料だからという理由で取り敢えず放り込んだまま、一度も見向きもされないデータやアプリがどのくらいありますか?
もしかしたら、部屋の中にも無料で貰ってきた詳細不明のノベルティグッズや、まとめ売りされていた何かの激安商品が、まったく使われる事なく転がってるかもしれませんね。
さぁ、ここでお尋ねします。
もしあなたが自分の商品を持ってるなら、あなたの商品の価格を限界まで安くしたり、あるいは無料にしたりする事は、はたして購入してくれる人にとって本当に良い事なのでしょうか?
あなたは商品そのものではなく、商品を通して何らかの価値を売っているハズです。商品の価格を激安、あるいは無料にしてしまう事によって、その価値が上手く伝わらなくなってしまったとしたら、それは商品を購入してくれた人にとっては
価値を得る機会の損失になってしまっているのです。
ゴミのごとく放置され無視されている商品から、人が何かの価値を得る事はありません。
なので『安くて買いやすい方がみんなにこの商品の価値が伝わるハズだ』と考えてギリギリまであなたの商品の価格を安くしたり、あるいは無料にしたりすると、逆に誰もあなたの商品に価値を感じなくなる可能性もあるんだ、という事をよーく覚えといてください。
よく考えてみれば、私たちは安いものを買えるのが嬉しいのではなく、高い価値を感じるものが割安で買えるのが嬉しいんだ、という事が分かるハズです。100円ショップで売ってる100円のボールペンを500円で売ると言われたら『高い!』と怒りたくなりますが、モンブランやウォーターマンの一本2万円のボールペンを5,000円で売ると言われたら『安い!』と嬉しくなるじゃないですか?(この例は高級ボールペンが欲しい人に限りますが...)
価格自体は500円と5,000円で10倍も差があるのに。
無料や激安で商品を提供する際には『無料・激安でもこの商品にはこういう価値があるんですよ』と、価値をキッチリ説明してみましょう。
『無料・激安にすればみんな試しに使ってみるだろうし、使ってくれさえすればこの商品の価値を分かってもらえるだろう』と思って何の説明もしなければ、誰にも価値を分かってもらえなかった、それどころか商品を使われてすらいなかった、という結果にもなりかねません。
繰り返しますが、私たちは安いものを買えるのが嬉しいのではなく、高い価値を感じるものが割安で買えるのが嬉しいんです。
価値を伝える努力をしましょう。
結論:『無料』や『激安』の商品は、与える側も受け取る側も不幸にする場合がある。いやぁ、価値と価格っていうテーマはホント奥が深いね。
定価100円のボールペンでも『ジョンレノンが、死の直前まで実際に作曲に使用していた、ギターの弦の傷跡付きのペン』とかになれば100万円でも買えるかどうか分からなくなりますし(笑)
取り敢えず、あなたの商品も値下げや無料化だけが最適解になる訳じゃない事を今日は覚えてといてください。
頑張ってね!!
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